ガロア理論を使って方程式を解いた事ありますか?

Home

【例題1】 EX1-RT1  EX1-RT2  EX1-RT3  EX1-RT4   ガロア群
         \(f(x)=x^3+3x+1\)           \(S_3\)
【例題2】 EX2  \(f(x)=x^3-3x+1\)           \(A_3\)
【例題3】 EX3  \(f(x)=x^5-10x^3+5x^2+10x+1\)  \( \ \ C_5\)
【例題4】 EX4  \(f(x)=x^4+4x+2\)           \(S_4\)


    【補足1】 APX1 代数体上での因数分解
    【補足2】 APX2 1の原始冪乗根 \("\omega \ and \ \zeta_5"\) の計算
    【補足3】 APX3 巡回多項式と円分方程式 \(\Phi_{17}(x)\)
    【補足4】 APX4 添加数生成時の計算のポイント
    【補足5】 APX5 \(x^3-2=0, \ x^5-3=0\) に関して
    【補足6】 APX6 拡大体 \(F_i\) での計算の注意点

【例題1】の解法手順(RT1&RT4)

EX1-RT1-1

\begin{align*} &f(x)=3x^3+3x+1 \quad \{\alpha,\beta,\gamma\}: \ roots \ of \ f(x)\\ &Primitive \ element \quad v=1\cdot\alpha+2\cdot \beta+3\cdot\gamma \end{align*}

流れ
EX1-RT1-2

\begin{align*} v_{1}=\alpha+2\beta+3\gamma \qquad v_{2}=\alpha+2\gamma+3\beta \\ v_{3}=\beta+2\alpha+3\gamma \qquad v_{4}=\beta+2\gamma+3\alpha\\ v_{5}=\gamma+2\alpha+3\beta \qquad v_{6}=\gamma+2\beta+3\alpha \end{align*} \begin{align*} V(x)=&(x-v_{1})(x-v_{2})(x-v_{3})\\ \times&(x-v_{4})(x-v_{5})(x-v_{6}) \end{align*}

流れ
EX1-RT1-3

\[V(x, \ \alpha,\beta,\gamma): symmetric \ function \ in \{\alpha,\beta,\gamma\} \] \[\qquad \qquad \Downarrow\] \[V(x, \ e_{1},e_{2},e_{3})\] \[\{e_1,e_2,e_3\}: elementary \ symmetric \ functions\]

流れ
EX1-RT1-4

\[g_{0}(x)=x^6+18x^4+81x^2+135 \]

\[ \qquad g_0(x):minimal \ polynomial \ of \ v \ on \ F_0=Q(\omega) \]

流れ
EX1-RT1-5

\begin{align*} P_{\alpha}(x)=V(x)&\cdot \big( \frac{\gamma }{x-{v_6}}+\frac{\gamma }{x-{v_5}}+\frac{\beta }{x-{v_4}}\\ &+\frac{\beta }{x-{v_3}}+\frac{\alpha }{x-{v_2}}+\frac{\alpha }{x-{v_1}}\big)\\ \end{align*} \[\alpha=\left.\frac{P_\alpha(x)}{V'(x)}\right|_{x=v} \quad The \ same \ holds \ for \ \beta\ and \ \gamma \]

流れ
EX1-RT1-6

\begin{eqnarray*} \left\{ \begin{array}{l} \alpha&=\frac{{{v}^{4}}+15 {{v}^{2}}-9 v+36}{18}\\ \beta&=-\frac{{{v}^{4}}+15 {{v}^{2}}+36}{9}\\ \gamma&=\frac{{{v}^{4}}+15 {{v}^{2}}+9 v+36}{18}\\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

\begin{align*} v_{1}&=v & v_{2}&=\frac{-v^4}{6}-\frac{5v^2}{2}+\frac{v}{2}-6\\ v_{3}&=\frac{v^4}{6}+\frac{5v^2}{2}+\frac{v}{2}+6 & v_{4}&=\frac{v^4}{6}+\frac{5v^2}{2}-\frac{v}{2}+6\\ v_{5}&=-\frac{v^4}{6}-\frac{5v^2}{2}-\frac{v}{2}-6 & v_{6}&=-v \end{align*}


(覚書1:Lagrange補間式)
(覚書2:ユークリッド互除法に関連して)
流れ
EX1-RT4-1

\begin{align*} &g_0(v_i)=0 \quad for \ (i=1,2,..,6) \\ &\qquad \qquad \Downarrow\ \\ &S_3: Galois \ group \ of \ f(x) \\ &\qquad composition \ series \ S_3 \rhd A_3 \rhd \{e\} \end{align*}

流れ
EX1-RT4-2

\[ g_{1}(x)=x^3+9x+a_{1} \in F_{1}[x] \]

\[\quad g_1(x):minimal \ polynomial \ of \ v \ on \ F_1=F_0(a_1)\\ \quad Here \ \ B_1=a_{1}^2 +135=0 \]

流れ
EX1-RT4-3

\[g_{2}(x)=x+{{a}_{2}^{2}}\, \left( -\frac{\omega }{3}+\frac{{a_1}}{18}-\frac{1}{6}\right) +{a_2} \in F_{2}[x]\]

\[ \quad g_2(x):minimal \ polynomial \ of \ v \ on \ F_2=F_0(a_1,a_2)\\ \quad Here \quad B_2=a_2^3-\frac{6 \omega +{a_1}+3}{2}=0, \ \Omega=\omega^2+\omega+1=0 \]

流れ
EX1-RT4-4

\begin{align*} v=&\frac{{{a}_{2}^{2}} \omega }{3}-\frac{{a_1} {{a}_{2}^{2}}}{18}+\frac{{{a}_{2}^{2}}}{6}-{a_2} \\ \\ \alpha=&-\frac{{a_1} \left( {{a}_{2}^{2}} \omega -{{a}_{2}^{2}}\right) +\left( 9 {{a}_{2}^{2}}-18 {a_2}\right) \omega +9 {{a}_{2}^{2}}-36 {a_2}}{54}\\ \beta=&\frac{{a_1} \left( 2 {{a}_{2}^{2}} \omega +{{a}_{2}^{2}}\right) -36 {a_2} \omega +9 {{a}_{2}^{2}}-18 {a_2}}{54}\\ \gamma=&-\frac{{a_1} \left( {{a}_{2}^{2}} \omega +2 {{a}_{2}^{2}}\right) +\left( -9 {{a}_{2}^{2}}-18 {a_2}\right) \omega +18 {a_2}}{54}\\ \\ Here &\quad B_1=a_{1}^2 +135=0,\\ &B_2=a_2^3-\frac{6 \omega +{a_1}+3}{2}=0, \\ &\Omega=\omega^2+\omega+1=0 \end{align*}

(覚書:冪根の実態は?)
                                      Home   

RT1-5の計算

次に\([\ \alpha,\beta,\gamma \ ]\)を \(v\) の多項式として表現する為に 突然ですが以下の多項式 \(P_\alpha(x)\) を考えます。

\begin{align} \setCounter{17} P_{\alpha}(x) &\equiv \ V(x)\cdot \big( \frac{\alpha }{x-{v_1}}+\frac{\alpha }{x-{v_2}} \notag \\ &+\frac{\beta }{x-{v_3}}+\frac{\beta }{x-{v_4}} +\frac{\gamma }{x-{v_5}}+\frac{\gamma }{x-{v_6}} \big)\\ \end{align}

上式は見かけは分数式ですが、上式の \(V(x)\) に式(6)を代入し展開すると以下の多項式になります。

\begin{align} P_{\alpha}(x)=&\alpha(x-v_2)(x-v_3)(x-v_4)(x-v_5)(x-v_6) \notag \\ +&\alpha(x-v_1)(x-v_3)(x-v_4)(x-v_5)(x-v_6) \notag \\ +&\beta(x-v_1)(x-v_2)(x-v_4)(x-v_5)(x-v_6) \notag \\ +&\beta(x-v_1)(x-v_2)(x-v_3)(x-v_5)(x-v_6) \notag \\ +&\gamma(x-v_1)(x-v_2)(x-v_3)(x-v_4)(x-v_6) \notag \\ +&\gamma(x-v_1)(x-v_2)(x-v_3)(x-v_4)(x-v_5) \end{align}


上式より \(P_\alpha(x)\) は分数式でなく多項式である事が判りました。
更に \(F_0\) 上の多項式である事を示します。 その為には、\(P_\alpha(x)\) が \([\ \alpha,\beta,\gamma \ ]\) の全ての置換 \(S_3\) に対して不変である事を示す必要があります。

< \(P_\alpha(x)\) の素性>
式(18)の右辺第一項の \(V(x)\) は式(16)に示す様に \(F_0\) 上の 多項式でした。従って式(18)の右辺第2項の括弧の中が \(S_3\) の置換に対して不変であることが 言えればよいはずです。 下の式(20)は、右辺第二項の各分数項の成り立ちを示したものです。

\begin{align} \frac{\alpha }{x-{v_1}}&=\sigma_1(\frac{\alpha }{x-v}) & \frac{\alpha }{x-{v_2}}&=\sigma_2(\frac{\alpha }{x-v}) \notag \\ \frac{\beta }{x-{v_3}}&=\sigma_3(\frac{\alpha }{x-v}) & \frac{\beta }{x-{v_4}}&=\sigma_4(\frac{\alpha }{x-v}) \\ \frac{\gamma }{x-{v_5}}&=\sigma_5(\frac{\alpha }{x-v}) & \frac{\gamma }{x-{v_6}}&=\sigma_6(\frac{\alpha }{x-v}) \notag \\ \end{align}

\begin{align} \therefore \quad P_\alpha(x)=V(x)\cdot \Bigl[ \ \sum_{i=1}^6 \sigma_i(\frac{\alpha }{x-v}) \ \Bigr] \end{align}

式(21)の意味するところは \(P_\alpha(x)\) の右辺第二項は、一つの種となる式 \([ \ \alpha/(x-v) \ ]\) に対して、\(S_3\) の全ての置換を操作したものの総和であることを意味しております。 従って \(P_\alpha(x)\) は \(S_3\) すべての置換に対して不変であり、\(F_0\) 上の多項式となるはずです。
実際に計算してみますと、式(19)の \(v_i\) に式(5)を代入して展開すると、 \(x^i\) の各係数は \([\ \alpha,\beta,\gamma \ ]\) の対称式となります。 そこで、\(V(x)\) を求めた時と同様に、各係数を基本対称式 \([ \ e1,e2,e3 \ ]\) に変換することにより、 \(P_\alpha(x)\)は以下の様に \(F_0\) 上の多項式となります。

\begin{align} P_\alpha(x)=18x^4-9x^3+162x^2-81x+405 \qquad \in F_0[x] \end{align}


< \(P_\alpha(x)\) を使って \(\alpha\) を \(v\) で表現する>
\(P_\alpha(x)\) が\(F_0\) 上の多項式と分かりましたが、少し話を元に戻します。
式(19)の \(x\) に \(v_1 \ (=v) \ \) を代入してみましょう。すると第一項目だけが残ります。
従って \( \alpha \) は式(24)となります。

\begin{align} &P_{\alpha}(v_1)=\alpha(v_1-v_2)(v_1-v_3)(v_1-v_4)(v_1-v_5)(v_1-v_6)\\ \notag \\ &\alpha=\frac{P_{\alpha}(v_1)}{(v_1-v_2)(v_1-v_3)(v_1-v_4)(v_1-v_5)(v_1-v_6)}\\ \end{align}

上式により一見、 \(\alpha\) は求まったように見えますが、ここで注意です。 上式の分子は式(22)の \(x\) に \(v_1=v\) を代入すればよいので、\(v\) の多項式となります。しかし、 分母は \([ \ v_2,...v_6 \ ]\) が含まれており \(v\) だけの式とはなっておりません。
理由は後で判りますが、目標としては、「\(\alpha\) を \(v\) だけの式」とし表現したいのです。

しかし式(24)の分母をよく見ると、 \(V(x)\) を微分した式 \(V(x)'\) の \(x\) に\(v_1 \ (=v)\) を代入したものと同じであることがわかります。 そこで、式(24)は式(25)の様にも書く事が出来ます。\(V'(x)\) は式(26)なので \(\alpha\) は、 式(27)の様に \(v\) の分数式でかける事が出来ました。

\begin{align} \alpha&=\left.\frac{P_\alpha(x)}{V'(x)}\right|_{x=v} \\ \notag \\ V'(x)&=6x^5+72x^3+162x\\ \notag \\ \therefore \ \alpha&=\frac{18v^4-9v^3+162v^2-81v+405}{6v^5+72v^3+162v} \\ \end{align}


\(\beta,\gamma\) に関しても、 \(\alpha\) と同様に以下に示す多項式 \(P_\beta(x),P_\gamma(x)\) を定義します。\(P_\beta(x),P_\gamma(x)\) も、\(P_\alpha(x)\) と同様に \(F_0\) 上の多項式(30)(31)が得られます。 更に、それを使って、\(\alpha\) 同様に \(\beta, \ \gamma \) も \(v\) の分数式の形式で表現できます。

\begin{align} &P_\beta(x)=V(x)\cdot \left( \sum_{i=1}^6 \sigma_i(\frac{\beta }{x-v})\right) \\ &P_\gamma(x)=V(x)\cdot \left( \sum_{i=1}^6 \sigma_i(\frac{\gamma }{x-v})\right)\\ \notag \\ &P_\beta(x)=18x^3+162x \\ &P_\gamma(x)= -18x^4-9x^3-162x^2-81x-405\\ \notag \\ &\qquad \Downarrow \notag \\ \notag \\ &\beta=\left.\frac{P_\beta(x)}{V'(x)}\right|_{x=v}=\frac{18v^3+162v}{6v^5+72v^3+162v} \\ \notag \\ &\gamma=\left.\frac{P_\gamma(x)}{V'(x)}\right|_{x=v}=\frac{-18v^4-9v^3-162v^2-81v-405}{6v^5+72v^3+162v} \\ \end{align}


(注)\([ \ \alpha+\beta+\gamma=0 \ ]\) という根と係数の関係があるので \(\gamma\) の式を求める必要は ありませんが、一応書いておきました。

次ページに続く


Profile
  Name:scruta   Daily life:mowing             

Revision history
  1st upload: 2023/06/17
  revision2 : 2023/07/27


maxima programs
もしご興味があれば、下記のページよりダウンロード出来ます。
但し、何の工夫もないプログラムです。

   download pageへ

Mail
もしご意見があれば下記のメールアドレスにe-mailでお送り下さい
(なおスパムメール対策のために、メールアドレスを画像表示しています)
  mailaddress