ガロア理論を使って方程式を解いた事ありますか?

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【例題1】 EX1-RT1  EX1-RT2  EX1-RT3  EX1-RT4   ガロア群
         \(f(x)=x^3+3x+1\)           \(S_3\)
【例題2】 EX2  \(f(x)=x^3-3x+1\)           \(A_3\)
【例題3】 EX3  \(f(x)=x^5-10x^3+5x^2+10x+1\)  \( \ \ C_5\)
【例題4】 EX4  \(f(x)=x^4+4x+2\)           \(S_4\)


    【補足1】 APX1 代数体上での因数分解
    【補足2】 APX2 1の原始冪乗根 \("\omega \ and \ \zeta_5"\) の計算
    【補足3】 APX3 巡回多項式と円分方程式 \(\Phi_{17}(x)\)
    【補足4】 APX4 添加数生成時の計算のポイント
    【補足5】 APX5 \(x^3-2=0, \ x^5-3=0\) に関して
    【補足6】 APX6 拡大体 \(F_i\) での計算の注意点

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APX1-2 元吉論文のアルゴリズムでの \(f(x)\) の因数分解計算 (続き)

前頁式(39)と(48)を併せる事により、\(f(x)\) の \(F_0(v)\) 上での因数分解と 3根を求める計算をしてみます。

\begin{align} \setCounter{48} &\left\{ \begin{array}{l} \quad f_1(x)=GCD(R_1(x),f(x+v))=\bbox[#FFFF00]{(x+v-\alpha)= x+\frac{{{v}^{2}}}{3}+v-2}\\ \quad f_2(x)=GCD(R_2(x),f(x+v))=\bbox[#7FFF00]{(x+v-\beta)= x-\frac{2 {{v}^{2}}}{3}+2 v+4 }\\ \quad f_3(x)=GCD(R_3(x),f(x+v))=\bbox[#00FFFF]{(x+v-\gamma)=x+\frac{{{v}^{2}}}{3}-2 } \end{array} \right. \\ \end{align}

式(49)の1行目の黄色い部分の等式を、下式(50)の様に移項して変形すると \(\alpha\) を求める事が出来ます。
2行目3行目も同様な変形をすると、\(f(x)\) の3根は式(51)として求める事が出来ました。

\begin{align} &x+v-\alpha= x+\frac{{{v}^{2}}}{3}+v-2 \notag \\ &\alpha=(x+v)-\left( x+\frac{{{v}^{2}}}{3}+v-2 \right)=-\frac{{{v}^{2}}}{3}+2 \\ \notag \\ \therefore \quad &\alpha=-\frac{{{v}^{2}}}{3}+2 \qquad \beta=\frac{2 {{v}^{2}}}{3}- v-4 \qquad \gamma=-\frac{{{v}^{2}}}{3}+v+2 \end{align}

又、式(49)の1行目の等式の \(x\) を \([ \ x \rightarrow x-v \ ]\) と変換すると式(52)の様に変形できます。
2行目、3行目にも同様な変形をすると式(53)のようになります。

\begin{align} &f_1(x)=(x+v-\alpha)= x+\frac{{{v}^{2}}}{3}+v-2 \notag \\ &\qquad \qquad \Downarrow \notag \\ &f_1(x-v)=(x-\alpha)= x+\frac{{{v}^{2}}}{3}-2 \\ \notag \\ &\left\{ \begin{array}{l} f_1(x-v)=(x-\alpha)= x+\frac{{{v}^{2}}}{3}-2\\ f_2(x-v)=(x-\beta)= x-\frac{2 {{v}^{2}}}{3}+v+4\\ f_3(x-v)=(x-\gamma)=x+\frac{{{v}^{2}}}{3}-v-2 \end{array} \right. \\ \end{align}

そして、上式(53)の3式を全て掛合せると、以下の式(54)の様に \(f(x)\) となり、 更に式(55)の様に代数体 \(F_0(v)\) 上で \(f(x)\)の因数分解が可能になる事が判りました。

以上で「元吉アルゴリズム」の最後の式が成立する事が確認できました。

\begin{align} f_1(x-v)f_2(x-v)f_3(x-v)=(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)=f(x) \\ \notag \\ f(x)=\left( x+\frac{{{v}^{2}}}{3}-2 \right)\left( x-\frac{2 {{v}^{2}}}{3}+v+4 \right)\left( x+\frac{{{v}^{2}}}{3}-v-2 \right) \\ \end{align}



参考までに代数計算ソフトmaximaに代数体での因数分解をやらせた命令が以下の式です。

  fx:x^3-3*x+1\$
  gv:v^3-9*x-9\$
  fxgv:factor(fx,gv);
  \[\frac{( 3 x-2 {{v}^{2}}+3 v+12)( 3 x+{{v}^{2}}-6)( 3 x+{{v}^{2}}-3 v-6) }{27} \]
  solve(fxgv,x);
  \[\left[ x=-\frac{{{v}^{2}}-3 v-6}{3},x=-\frac{{{v}^{2}}-6}{3},x=\frac{2 {{v}^{2}}-3 v-12}{3}\right] \]


上記の "factor(fx,gv)" が、maximaの命令で「 "fx" を "gv" が生成する代数体上で因数分解せよ」と言う命令です。 出力結果 "fxgv" は、式(40)と一致しております。
又、"solve(fxgv,x)" は、「xの方程式" fxgv=0 "を 解きなさい」というmaximaの命令でリスト形式で、出力結果が出てきます。これを見ると答えの順番は 違いますが、式(36)と一致しております。
以上の様に、計算ソフトはいとも簡単に因数分解します。便利です。

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  1st upload: 2023/06/17
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