ガロア理論を使って方程式を解いた事ありますか?

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【例題1】 EX1-RT1  EX1-RT2  EX1-RT3  EX1-RT4   ガロア群
         \(f(x)=x^3+3x+1\)           \(S_3\)
【例題2】 EX2  \(f(x)=x^3-3x+1\)           \(A_3\)
【例題3】 EX3  \(f(x)=x^5-10x^3+5x^2+10x+1\)  \( \ \ C_5\)
【例題4】 EX4  \(f(x)=x^4+4x+2\)           \(S_4\)


    【補足1】 APX1 代数体上での因数分解
    【補足2】 APX2 1の原始冪乗根 \("\omega \ and \ \zeta_5"\) の計算
    【補足3】 APX3 巡回多項式と円分方程式 \(\Phi_{17}(x)\)
    【補足4】 APX4 添加数生成時の計算のポイント
    【補足5】 APX5 \(x^3-2=0, \ x^5-3=0\) に関して
    【補足6】 APX6 拡大体 \(F_i\) での計算の注意点

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APX2-1 \("\zeta_5"\)の計算の続き

[7-1] 今後の計算の全体像

前節をまとめると同時に今後の計算の全体像を示します。
重要な事は、方程式 \(\Phi_5(x)\) のガロア群が、巡回群 \(C_4\) であり、その組成列 (Composition series) が 、式(34)の系列になるという事です。従って、組成列 \([ \ C_4 \ \rhd \ C_2 \ \rhd \ e \ ]\) に対応して、基礎体 \(Q\) は \([ \ Q \rightarrow Q_1 \rightarrow Q_2 \ ]\) と2段階で拡大される事が判ります。そして、下図Fig4-1にあるように、 上段の体の拡大系列は \(Q_1\) の所で、式(35)に示す2つの巡回拡大に分解される事になります。

体の変換

\begin{align} \setCounter{33} &Gal(Q(v)/Q)=C_4 =\{\sigma_{1}, \sigma_{24},\sigma_{11}, \sigma_{14}\} \notag \\ &\quad C_4 \ : \ Galois \ group \ of \ F_0(v)/F_0 \ and \ \Phi_5(x) \notag \\ \notag \\ & \ Composition \ series \ of \ Galois \ group \ C_4 \notag \\ & \quad \biggl[ \ C_4 \ \rhd \ C_2 \ \rhd \ e \ \biggr] \\ & \qquad \qquad \Downarrow \notag \\ \notag \\ &Cyclic \ extensions \notag \\ &\quad \biggl[ \ C_4/C_2 \ \rhd \ e \ \biggr] \rightarrow \biggl[ \ C_2/e \ \rhd \ e \ \biggr] \\ \end{align}


それでは、この2つの巡回拡大での計算で、最小多項式の次数がどの様に低減されてゆくか見てみましょう。

[7-2] \( \bbox[#CFFFCF]{ Lagrange \ resolvent } \) を利用した巡回拡大の計算(1)

【step1】剰余群\([ \ C_4/C_2 \cong C_2 \ ]\) 巡回拡大\([ \ Q_1/Q \ ]\) \(g_1(x) \)の計算

  (注:上記、「剰余群...」には、2つの \(C_2\) の文字がありますが、別物です。
     \([C_4/C_2]\) の \(C_2\) は \(C_2=\{\sigma_1,\sigma_{24}\}\) で、\([\cong C_2]\) の \(C_2\) は \(C_2=\{\rho_1,\rho_2\}\)(前頁)です)

\begin{align} & h_0=\prod_{\sigma_i \in \ C_2}\sigma_i(x-v)=\bbox[#FFC0CB]{(x-v_1)}(x-v_{24}) \\ &h_1=\prod_{\sigma_i \in \ (C_4-C_2)}\sigma_i(x-v)=(x-v_{11})(x-v_{14}) \\ \notag \\ & \bbox[#CFFFCF]{ \begin{bmatrix} t_0 \\ t_1 \end{bmatrix} =\frac{1}{2} \begin{bmatrix} 1&1 \\ 1&-1 \end{bmatrix} \cdot \begin{bmatrix} h_0 \\ h_1 \end{bmatrix} } \quad ( \ Lagrange \ resolvent \ )\\ \notag \\ &\left\{ \begin{array}{l} t_0 \ \in \ Q[x] \\ t_1 \ \in \ Q(v) \end{array} \right. \quad \Longrightarrow \quad \left\{ \begin{array}{l} B_1=a_1^2-A_1=0 \quad A_1 \in Q \\ \tilde{t_1} \ \in \ Q_1=Q(a_1) \end{array} \right. \notag \\ \notag \\ &\begin{bmatrix} \tilde{h_0} \\ \tilde{h_1 } \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1&1 \\ 1&-1 \end{bmatrix} \cdot \begin{bmatrix} t_0 \\ \tilde{t_1} \end{bmatrix} \quad \Rightarrow \quad \left\{ \begin{array}{l} g_0(x)=\tilde{h_0} \cdot \tilde{h_1} \\ g_1(x) \equiv \tilde{h_0} \ \in \ Q_1[x] \end{array} \right. \\ \notag \\ & \bbox[#FFFF00]{ g_0(v)=0 \quad \Rightarrow \quad \left\{ \begin{array}{l} g_1(v)=0\\ B_1=0 \end{array} \right. } \\ \end{align}


上記の計算をしてゆきます。 式(36)(37)に式(31)を代入して計算された \(\{h_0,h_1\}\) を、式(38)に代入して \(\{t_0,t_1\}\) を計算すると 以下の様になります。

\begin{align} &\left\{ \begin{array}{l} h_0=x^2+5x-v^2-5v\\ h_1={{x}^{2}}+5 x-\frac{4 {{v}^{6}}}{25}-\frac{12 {{v}^{5}}}{5}-\frac{93 {{v}^{4}}}{5}-86 {{v}^{3}}-249 {{v}^{2}}-420 v-300\\ \qquad =x^2+5x+v^2+5v+25 \quad ( \ mod \ g_0(v) \ )\\ \end{array} \right. \\ &\qquad \qquad \Downarrow \notag \\ &\left\{ \begin{array}{l} t_0={{x}^{2}}+5 x+\frac{25}{2}\\ t_1=-{{v}^{2}}-5 v-\frac{25}{2} \end{array} \right. \\ \end{align}


更に \(t_1^2\) を計算すると \(Q\) の元である事が判ります。この際注意する事は、計算は \(Q(v)\) の中で 行われるので、\(g_0(v)\) による剰余計算をする必要があります。
そこで \(t_1\) を求める2項方程式 \([ \ B_1=0 \ ]\) を構成する事が出来ます。 この方程式の根として \(a_1\) を定義すれば、\(a_1\) を基礎体 \(Q\) に添加する事により、 拡大体 \(Q_1\) を構成できます。
元々 \([ \ t_1=a_1 \ ]\) としていたので、\(t_1\)は体 \(Q_1\) の元として表現できた訳ですから、 \(\tilde{t_1}\)と記述する事にします。

\begin{align} &g_0(v)= \ v^4+10v^3+50v^2+125v+125 =0 \notag \\ \notag \\ &t_1^2=v^4+10v^3+50v^2+125v+\frac{625}{4}=\frac{125}{4} \equiv A_1 \quad \in \ Q \\ &\qquad \qquad \Downarrow \notag \\ &B_1=a_1^2-A_1=0 \quad \rightarrow \quad \ Q_1 \equiv Q(a_1) \quad \tilde{t_1}=a_1 \ \in \ Q_1 \\ \end{align}


次に、\(\{t_0,\tilde{t_1}\}\) を式(39)に代入して \(\tilde{h_0}\) を 計算したものが、新たな最小多項式 \(g_1(x)\) となります。
何故なら、式(36)より判る様に、もともと \(h_0\) は \((x-v)\) の因子を含んでいるので、当然 \([ \ g_1(v)=0 \ ]\) となります。

\begin{align} & \tilde{h_0}=t_0+\tilde{t_1}= x^2+5x+\frac{25}{2}+a_1 \equiv g_1(x) \quad \in \ Q_1[x]\\ \notag \\ &\quad g_1(x): minimal \ polynomial \ \ of \ v \ \ on \ Q_1 \notag \\ &\quad g_1(v)=v^2+5v+\frac{25}{2}+a_1 =0\\ \end{align}


次ページに続く


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